日常会話でも、

「扶養に入る」
「扶養から外れる」

という言葉をよく使います。

でも実は、

税金の扶養と社会保険の扶養は、同じものではありません。

ここが一番ややこしいところです。

ざっくり整理しておきます。

扶養とは

一般的な意味では、

自分の収入だけでは生活が難しい家族などを、経済的に支えること

を扶養といいます。

ただし、制度の話になると、

  • 税金の扶養
  • 社会保険の扶養

の2つがよく出てきます。

この2つは、条件も仕組みも別です。

税金の扶養とは

所得税では、一定の条件を満たす親族がいる場合、

扶養控除

を受けられることがあります。

扶養控除とは、扶養している親族がいる人の所得から一定額を差し引いて、税負担を軽くする仕組みです。

つまり、

扶養される人が保険に入る制度ではなく、扶養している人の税金に関係する制度

です。

配偶者は「扶養控除」ではない

配偶者については、通常の扶養控除ではなく、

配偶者控除
配偶者特別控除

という別の仕組みがあります。

そのため、

「夫や妻を税金の扶養に入れる」

という言い方をすることはありますが、制度上は配偶者控除などで扱われます。

社会保険の扶養とは

会社員などが加入する健康保険では、一定の条件を満たす家族を、

被扶養者

として健康保険に入れることがあります。

被扶養者になると、その家族自身について健康保険料を別に負担せずに、健康保険の給付を受けられます。

会社員の配偶者などで一定の収入以下の人は、健康保険の被扶養者や国民年金の第3号被保険者になる場合があります。

「103万円」「130万円」だけ覚えると危ない

扶養の話では、

103万円の壁
106万円の壁
130万円の壁

など、いろいろな数字が出てきます。

ただし、これらはすべて同じ制度の基準ではありません。

しかも税制改正や社会保険制度の変更によって、金額や条件は変わります。

たとえば2026年分の所得税では、扶養控除の所得要件などが改正されており、給与収入だけの場合の基準も過去の「103万円」とは異なります。

一方、社会保険では、被扶養者認定の代表的な収入基準として年収130万円未満がありますが、勤務先や労働時間などによっては、それより低い収入でも自分で健康保険・厚生年金に加入する場合があります。

106万円の壁はどうなる?

社会保険でよく言われる「106万円の壁」は、短時間労働者が勤務先の健康保険・厚生年金に加入する目安として使われてきた言葉です。

厚生労働省によると、このうち月額賃金8.8万円以上という賃金要件は2026年10月に撤廃予定です。

そのため、扶養について調べるときは、

昔覚えた年収だけで判断しない

ことが大切です。

130万円未満なら必ず扶養に入れる?

必ずではありません。

健康保険の被扶養者には、収入だけでなく、

被保険者に主として生計を維持されているか

などの条件があります。

また、勤務先で自分自身が社会保険の加入対象になれば、年収130万円未満でも被扶養者にはならず、自分で健康保険・厚生年金に加入します。

「扶養に入っている」を確認するとき

「私は扶養に入っている」と言う場合には、

税金の扶養なのか、健康保険の扶養なのか

を分けて考える必要があります。

たとえば、

税金では扶養の対象でも、社会保険では扶養ではない。

逆に、健康保険では被扶養者でも、所得税の扶養控除の対象ではない。

ということもあります。

ざっくり覚えるなら

扶養には大きく、

税金の扶養
→ 扶養している人の所得税などに関係する

社会保険の扶養
→ 家族が健康保険の被扶養者になることに関係する

という2つがあります。

そして、

「扶養=年収○万円」だけでは決められない

と覚えておくと分かりやすいです。

関連する用語

分からない言葉があったら、ひとつずつ確認していきます。

参考情報